OHCHRのベネズエラ情勢報告書(7/4)をベネズエラが拒否を表明

  • 2019.08.14 Wednesday
  • 23:31

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)がベネズエラ情勢について74日に公表した報告書に関し、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領、ベネズエラ政府、国内外の人権団体がこれへの拒否を表明しました。ベネズエラ大使館から、ベネズエラ政府がチェル・バチェレ国連人権高等弁務官宛に送った書簡、ベネズエラ情勢の報告書の70項目の誤りや省略を指摘した文書について案内をいただきました。

ベネズエラ大使館より

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)がベネズエラ情勢について74日に公表した報告書に関し、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領、ベネズエラ政府、国内外の人権団体がこれへの拒否を表明しました。

ベネズエラ政府は711日にミチェル・バチェレ国連人権高等弁務官あて書簡を発出しました。その中でマドゥーロ大統領は、同報告書は「偽りの言明、歪曲、データと出典の誤魔化しに満ちた報告書」であると述べています。また、ベネズエラ外務省は報告書の誤りや省略されている内容を70項目に渡り列挙した公的文書を送付し、虚偽内容を修正するよう要求しました。

 

一方、ベネズエラ人権ネットワーク(Red venezolana de Derechos Humanos)とこれに加入するNGO 38団体は、バチェレ氏のチームに提供した情報が報告書には全く反映されておらず、「除外され、無視され、差別された」ことは大変遺憾であると表明しました。米国の弁護士で著名な人権の専門家であるアルフレッド・デ・ゼイヤス(Alfred de Zayas)氏は、同報告書について「不完全で失望させるもの」と評した上で、バチェレ氏に対し、チームのメンバーをよりプロフェッショナルかつ公明正大な人員と入れ替えるべきだと勧告しました。

 

もう一つ目を引いたのは、一部の日本のメディアが報告書の内容について、「『政権に反対する者』5000名()を超法規的殺害」などと報道していることです。

(※メディアによって数は50006800名と異なります。)

 

真実と情報を開示する責任に忠実になるならば、確かに治安の良くない状況はあります(これも徐々に改善されています)。しかし、実際に報告書に記載されているのは、”resistance to authority” つまり「当局への抵抗」により麻薬密売人など犯罪者が死亡したケースであり、一部で報道された「政権に反対する者」は、この”resistance to authority” を読み間違えたものです(報告書第50項)。実際に、ベネズエラ政府はデモでの死者は2018年は0名、20191月〜5月は29名だったと示した旨、報告書そのものに明記されています(報告書第40項)。これも非常に痛ましい人命損失であることには間違いありません。しかし、日本で一部報道されたように、政治的理由による死者が56千名ということでは決してありません。

 

添付:ベネズエラ大統領からバチェレ氏に宛てた書簡(注:以下をご覧ください)、ベネズエラ情勢の報告書の70項目の誤りや省略(英文)(注*クリックしてください。pdfがご覧になれます)

 

 

マドウーロ大統領からバチェレ氏に宛てた書簡

 

2019年7月11日、カラカスにおいて

 

 

国連人権高等弁務官

ミチェル・バチェレ 様

 

 

貴職の事務所が去る7月5日に国連人権理事会へ提出された報告書を拝見しました。その内容はベネズエラ国民の尊厳及びベネズエラの人権状況の真実にとって深く有害なものです。残念ながら、貴職がベネズエラの声を聞かれなかったことが一目瞭然とわかります。

 

初めに、件の報告書は貴職の前任者が作成したものの模倣となっています。同前任者は公に知られているように、ベネズエラ政府を犯罪人と見なすという唯一の目的のもと、ベネズエラに対する違法かつ非倫理的な書類を作成していました。

 

貴職は、偽りの言明、歪曲、及びデータと出典の誤魔化しに満ちた報告書を提出されました。つまりバランスと正確性に欠けた明らかに偏った報告書であり、我が国の人権状況について歪んだ概観を示すだけでなく、政府が提供した情報やデータではなく帝国のメディア覇権が押し付ける使い古された論調を取り上げたものとなっています。

 

とりわけ深刻なのは、貴職の報告書はベネズエラ国内の状況に関する概略作成を試みるにあたり、外国で入手した嘘を優先しているということです。国連人権高等弁務官事務所(OACHR)が実施したインタビュー558件のうち460件がベネズエラ国外で実施されたものであり、これは報告書に記載されている意見の82%に当たります。

 

貴職の報告書は、ベネズエラを象徴的に攻撃するワシントンからのメディア・政治論調に悲しくも同調しており、いわゆる独裁政権や人道危機なるものの存在に関するシナリオをなぞっています。いわゆる人道危機というものは、シモン・ボリバルの計画をなきものとし我が国の莫大な天然資源を入手しようと望む者たちにとって、介入の正当化を許すものです。

 

私は自問し、また貴職にも問いかけます。

 

ここ20年間の選挙で23回も正当と認められた政治プロジェクトを、独裁と呼べるだろうか?必需品が行き渡らないことによる貧困を、革命から20年足らずで3分の1にまで減らしたのは何だろうか?ベネズエラを大陸で2番目に不平等の少ない国とし、最も裕福な層の所得の25%を中間層や貧困層に移転させて我が国の歴史で最大の富の移転を行ったのは、何だろうか?

 

国民の投票により作られた憲法によって初めて先住民族、子ども、女性、高齢者に権利を与え、また貧しい多数派や差別を受ける少数派に光を当て権利を与えてきた政府を、独裁と呼べるだろうか?

 

米国がベネズエラの海外の石油関連資産300億ドル以上を奪い取り、食料・医薬品の購入に充てられるはずだった70億ドル以上を凍結・没収し、ベネズエラ債券の取引を禁止し、ベネズエラと貿易を行うあらゆる企業が迫害を受けているとき、「人道危機」に言及できるだろうか?これを人道危機と呼べるだろうか、それとも、1970年〜73年にアジェンデ政権下のチリで行われたのと同様、経済的に締め上げることで我が国の崩壊を招く目的で行われる一方的強制措置の、違法・非合法・犯罪的な適用について議論すべきだろうか?

 

私は栄誉にも一国を統括していますが、その国の憲法秩序は、人権に服する立憲国家であることに法的至高性を与えています。私たちは、人権に関して抱える課題に目を向けぬままとはしていません。多国籍企業の利益に仕える政治エリートがプント・フィホ体制の時代に犯してきた、最も基本的な権利の侵害という恥ずべき行為を二度と繰り返すことのないよう、私たちは指揮を取っているのです。私たちは機関として常に、人が人であるが故に持つ権利を完全に行使できるようにする所存であります。

 

貴職の報告書はラテンアメリカの歴史的真実に目を向けておりません。また米国とその同盟国による犯罪的封鎖によって引き起こされている莫大な物的・人的損害から国民を守るべくベネズエラ政府が行っている並外れた努力を無視しています。

 

私は貴職の使命をゆがめようとする圧力の存在を知っており、残念なことに貴職はその圧力に屈されたようです。また、悲しいかな、ベネズエラ国民の人権を真に侵害している者たちの側につき、そうして我が祖国に直接的な介入を試みる者たちに扉を開いていらっしゃいます。

 

当該報告書に記載されている偽りの言説を明らかにするには、一つ例を挙げれば足りるでしょう。

 

貴職は、祖国カードの制度は政治的な党派または派閥を条件に利益を与えるという社会的管理のメカニズムである、と断定されています。偽り以外の何ものでもありません。貴職のチームは、この点に関してはっきりとした情報を受け取っていらっしゃいます。ベネズエラの人口は3000万程度であり、祖国プラットフォームに登録されている市民は18,809,877名います。この数字からおのずから明らかになるのは、現存するなかで最も完成され世に知られていないこの社会的保護制度の、インクルーシブな性質です。テクノロジーを使って、援助を直接的に、かつ官僚主義的なフィルターを通さず届けることができるツールです。

 

貴職は、野党派の暴力による犠牲者の遺族と個人的にお会いになりました。彼らは、単に肌の色や、政府支持者と思われたというだけで生きたまま焼かれた人々です。貴職はその面会について報告書で全く触れておらず、ましてや遺族らが切として求めた裁きについても、貴職はこれを請け合っておきながら、全く言及されていません。

 

貴職は犠牲者らの期待に背いたのです。当該報告書に少なくとも自らの証言が反映されるという権利を持っていた人々の声を、奪っているのです。

 

また、極めて侮辱的なのは、人権侵害の被害者のケースにおける国の努力を評するに当たり、被害者への賠償は彼らを黙らせるために行われた、と指摘していることです。

 

ベネズエラで起きていることの真実に傷をつけることで、貴職の事務所は私たちの国民に害を与える者たちの側についています。そしてこのようにして、貴事務所と我が国との関係を正常化すべく行っている政府の努力を害しています。

 

以上の内容により、私たちは貴職に対し、報告書への最大かつ絶対的な拒否を表しその内容を非難するとともに、重大な誤り、いわれのない非難、報告書内で省略されている事項に関してすみやかに修正・訂正することを要求します。これら事項は、報告書を対ベネズエラ介入への危険な足がかりに変貌させ、生命の軽視をありふれたものとする野党派への無処罰を促進し、クーデター、暗殺の試み、暴力、破壊を助長するものです。

 

真摯なベネズエラ―政治的・経済的・社会的な大多数が自国の平和と不可侵の独立を求めています―は、世界の大共同体としての国連制度がその基本憲章の原則と目的の力を発揮させ、そうして人類史上最も野蛮な戦争大国による深刻な攻撃の犠牲となっている我が国を保護してくださることを切望しています。

 

貴職に知っておいていただきたいと思います。ベネズエラは自分の足で立ち、勝利し続けるであろうことを。どんな偽りの報告書や攻撃も、そしてそれがいかに俗悪であろうと、私たちの鉄の意志、つまり自らの正当な権利を擁護する自由で独立した国民であり続けるという意志は変えられないということを。

 

ボリバルとチャベスの地から、欺瞞の報告書のすみやかな修正を要求して筆をおきます。

 

ベネズエラのため私たちは勝利する!

 

(署名)

ニコラス・マドゥーロ・モロス

 

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