ベネズエラでの2月23日は「もう一つの破綻したクーデター」に終わった

  • 2019.04.09 Tuesday
  • 22:54

アルゼンチンの経済学者で政治アナリストであるクラウディオ・カッツのインタビュー記事です。

カッツ氏は、「ベネズエラで起きていることが、ラテン・アメリカ全体において、新自由主義的独裁主義となるのか、あるいは人民解放の過程の再開となるのかを決定するだろう」「チャベス主義はマドゥーロ、あるいはPSUV(ベネズエラ統一社会党)だけのものではない、人民がいて、そして政府があるのだ。チャベス主義はベネズエラの人民すべてを包み込んでいる政治的な土台なのだ」と語り、ベネズエラ人民に高い信頼を寄せています。


ベネズエラでの2月23日は「もう一つの破綻したクーデター」に終わった

(In Venezuela 23F ended up ‘one more collapsed coup’)

2019年3月25日 WorkersWorld(By a guest author posted on March 25, 2019)発

 

以下は、Lahaine.org320日に掲載されミカエル・オットが翻訳した、マリオ・エルナンデスがアルゼンチンの経済学者で政治アナリストであるクラウディオ・カッツへ行ったインタビューからの抜粋である。

 

 

【マリオ・エルナンデス】あなたは『ラ・ハイネ』に「ベネズエラはこの地域全体の将来を決める」という記事を書いていますが、なぜですか?

 

【クラウディオ・カッツ】なぜなら、(ベネズエラで)起きていることが、ラテン・アメリカのすべてで、新自由主義的独裁主義となるのか、あるいは人民解放のコースを再開する反対の過程となるのかを決定するだろうことが非常に明らかだからだ。

 現在の状況に関して興味深いことは、クーデターの陰謀の失敗が相次いでいることだと考えている。最初はグアイドが大統領を自称した時だった。彼は30日以内に選挙を呼びかけると言った。時間はとっくに過ぎても、この男は大統領の機能を何も実行していない。

 ベネズエラの右翼は、乗りかかった中途半端なクーデターを経験した。2013年以来、5回もやろうとして失敗したことを忘れることができない。そしてこれもまた成功しなかった。

 2月23日に起きたことは2回目の破綻したクーデターだった。それは「D」日となるはずだった。すべての野党はトラックが入ってくることに賭けていた。そうならず、人道援助の提供には政治的中立性が必要なのに、人道援助の茶番が暴露された。困っている人々を助けるためには、対立している双方とは関係のない中立的な機関が必要となる。赤十字も国連も国境なき医師団もあらゆる中立的な機関が参加しなかった。

 もし、本当に同国を助けるために「援助」したいのであれば、最初の段階はベネズエラの財政を妨害している口座の封鎖を解除すべきである。それはキューバに対する禁輸とまったく同じ(米国)の偽善である。

 この作戦はトロイの木馬としてよく練られたものだと思う。それは偽装した軍事行動だった。なぜなら、人道援助はカリブ海の米軍基地を飛び立った飛行に乗せられて到着したが、それはペンタゴンの請負業者が手配したものだった。

 2月23日土曜日は信じられないほどの茶番だった。ベネズエラが援助を妨害するために封鎖したと言われた有名な橋は、落成してもおらず、開通もしていなかった。集団がトラックを燃やしたと非難されたが、それはコロンビア側から燃やされた。イラク攻撃の口実とした、存在してもいなかった大量破壊兵器を使って、サダム・フセインを攻撃した茶番とよく似たものだった。

 2月23日土曜日は、ベネズエラ軍がコロンビア国境を越えて大量に脱走し、ベルリンの壁のように崩壊するのを期待して待っていたが、右翼工作員グループがやった無意味な訓練となり、もう一つのグアリンバ(右翼の暴力デモ)のようなものに終わった。期待したものは起きなかった。兵舎への圧力はあったが、まだ何も起きなかった。

 

【3度目の失敗】

 私にはそう見えても、まだ推測に過ぎないが、我々は3回目の失敗を目撃し始めているのではないか。何故なら、ブラジルの副大統領はすでに軍事侵略には反対だと発言している。ボルソナロ(ブラジル大統領)との対立がある。ブラジルを実質的に支配している軍指導部は、「ブラジルの大使館をエルサレムへ移転はして欲しくない。」、「アルカンタラ基地は好きではない」、「ベネズエラに対する軍事的冒険には踏み込みたくない」と発言している。だから、このリマ・グループ全体に穴が開き始めている。

 マイク・ペンス副大統領がグアイドをバカにして不満を述べている理由はそれである。軍隊の脱走は無かったし、チャベス主義の社会主義の基盤は持ちこたえているし、体制は崩壊していないからだ。

 ブラジルで起きたことは重要だ。もし、ブラジルがブレーキを踏めば、コロンビアはためらい始める。コロンビア単独で軍事作戦を開始する意志はない。コロンビアの野党指導者グスタボ・ペトロはすでにそれに反対するキャンペーン中であるが、それでも非常識な国は存在する。チリの大統領セバスチャン・ピニェーラは(コロンビア・ベネズエラ国境の)ククタへ馬鹿げたショーを見に行ったが、パラグアイやパナマと同様に手ぶらで帰って来た。

 自作の、人道援助作戦のリマ・グループに失敗がある。最大の問題は、賭けに出るのかどうか、彼ら(米国)が軍事作戦をするつもりがあるのかである。

 多くの宣言がある。ククタには米国の極右がいる。米国の上院議員マルコ・ルビオがおり、下院議員ディアス・バラートがおり、大虐殺の立案者エリオット・アブラムスやジョン・ボルトンがいる。沢山の粗暴な演説がある。しかし、領土の占領を開始することも、中東モデルに従って(ベネズエラで)2重政府を設置することも非常に難しい。

 ハイチへ行ったときのような全ラテン・アメリカ部隊を武装させることはもっと難しい。米国がやろうとしたことは国境作戦、テロ、1980年代と1990年代のニカラグア・コントラ(米国が支援し、武装したような)限定した行動ではないかと思う。

 トランプはシリア、アフガニスタンやイラクの軍事的撤退に絡む多くの問題を抱えている。彼は、それ以上する勇気がないので、北朝鮮との間で平和を作ろうとしている。トランプが、1983年のグラナダ侵略、1989年のパナマ侵略、2009年のホンデュラスでの行動を繰り返す可能性は非常に難しい。ヨーロッパは彼を支持しない。NATOには強い危機がある。

 だから、右翼が問題を抱えているということは良いニュースだと思う。我々は別の面での評価をしなければならない。

 

【米国による経済封鎖】

MH:あなたに次のことをお尋ねしようとしていた。我々はこれまでそれを戦争の勝利のように理解しているが、ベネズエラの経済状況は深刻な問題を抱えている。最初に取り上げたあなたの記事では、30%のダウン(国内総生産)、石油生産の50%ダウン、測定不能なほどのハイパーインフレ現象が重なっている。

CK:状況は非常に深刻で、封鎖が拡大されているのでこれからもっと悪くなる。米国はシッゴを没収した。ベネズエラに必要なドルの流れに何が起きるのか分かる者は誰もいない。主に経済戦争、外国の妨害と包囲攻撃を原因とする経済の崩壊がある。しかし、政府は、予測不能、無能、そしていわゆるボリブルジョアジー(右翼野党とは公然とは同盟していないボリバル・ベネズエラ内部のブルジョアジー)との共謀のせいで責任を負わなければならない。

 (政府の政策を)批判しているチャベス主義エコノミストも沢山いて、ベネズエラは禁輸やシッゴの収奪という新しい攻撃に対抗する必要があるので、方向を変えるのは今だと提案している。そして出発点は債務の支払い猶予になるだろう。ベネズエラは負債の利払いで700憶ドルを支払ってきたが、今は何も残されていない。多くのエコノミストは、即刻の支払い猶予の重要性と各債務者によるそれぞれの債務の明確な差別化を提案している。

 ベネズエラ初めての国際的な経済同盟のネットワークを維持することが必要であり、それは必須である。そしてそれには、コミューンと全く異なるマクロ経済を指向する大衆経済のダイナミズムに基礎を置く経済政策が必要である。そして、闘いの意志が存在する以上、この転換は可能であると信じている。

 

【チャベス主義がベネズエラ人民すべてを包んでいる】

 先月見せたことは、チャベス主義はマドゥーロ、あるいはPSUV(ベネズエラ統一社会党)だけではないので、人民がいて、政府があるということだった。それはベネズエラの人民すべてを包み込んでいる政治的な土台である。ディルマに起きたこと(2016年に右翼の陰謀によって弾劾されるまで2011年からブラジルの大統領だった)とは異なり、抵抗する決意がある。

 マドゥーロは数日の内に6回の結集を呼びかけた。そして彼は右翼と同時期に路上で闘う。離脱キャンペーンを封鎖する軍隊への強い愛国的な感情がある。

MH:30万人の部隊のうち300人の離脱

CK:軍内部に主権意識を構築した20年の歴史がある。軍隊内部の社会主義教育がある。さらに、政府は理性的に行動し、挑発に対しても理性を維持している。2017年のグアリンバスから学んだのだと思う。(その時には)ファシスト・ギャングに対して催涙ガスを発射し、グアリンバスから軍事的対立へとエスカレートするのを防ぎ、結局、平和の旗を守った。

 誰も内戦を望んでいない。政府はそれがトランプのすべてだと主張している。彼らは大虐殺、あるいはリビアの再現を望んでいないと言う。カダフィのクーデターから8年が過ぎて、リビアはもはや存在しない。そこで武装勢力が闘っているため、リビアはバラバラとなり、主だった油田は閉鎖された。それぞれの部隊はビジネスをする地元のアラブの族長である。

 だから、ベネズエラ政府は慎重な行動を実行した。コロンビアで攻撃が組織されたので、国境を閉鎖し、コロンビアと関係を破棄した。それは知性的な国際戦略だった。グアイドを承認する以上の国が現政府を承認している。そして、ロシアとの軍事同盟、国連にサダム・フセインのストーリーを繰り返すことを防止する行動、それは侵略を合法化する宣言を国連が出すのを止めさせるものである。それはゴアリテに対するダビデの闘いである。我々はこういう視点を失ってはならないが、偉大な闘いはいつもこんなものである。

 

【抵抗することは可能である】

 これまで、ラテン・アメリカは、それが重要なのだが、あらゆることを規定している。もし、右翼が勝利すれば、ピノチェトのクーデター(1973年にチリで社会主義よりのアジェンデ政府が打倒された)、1973年のラテン・アメリカにおける時代の変化のようなものだと思う。右翼にある勝利至上主義の浅薄さは徐々に無くなりつつあるが、抵抗が非常に重要であり、多くの進歩主義者にある敗北主義の風潮を克服することとなる理由がそれである。

 抵抗することは可能である。キューバは50年以上抵抗してきた。イランは40年。それは複雑な闘いである。もちろん、そうである。(米国については)軍事キャンペーンだけでなく、世論を獲得する闘いにおいて、メディアキャンペーンを使って「敵」を悪魔化する取り組みをしている。

 ベネズエラは、この世論を獲得する戦争がトランプやマイアミのファシストのような全く無能な連中によって命令されたものだと非難している。

 さらに、対立は国際的になっている。ベネズエラ支持の旗はフランスの黄色いベストの中にも現れた。

 (ますます)クーデターを支持するのか、それともベネズエラを守るのかが問われるようになった。真ん中におり、マドウーロにもグアイドにも罪があり、右翼独裁はチャベス主義政府と同じようなものだと考えている知識人たちが住んでいる中立な世界のための空間はどんどん狭くなっている。

 ありがたいことに、この種の立場は力を失いつつあると思う。ベネズエラの左翼の知識人のグループがグアイドと会合を持ったという恥ずべき出来事を見たので、それについてコメントする。

MH:社会主義グループ(Marea Socialista)の会合の事ですね。

CK:その通り。それは恥ずべきもので、受け入れられない。重要なことはテーマではなく、行為だ。何を話そうが、問題なのは写真撮影だ。

 

【左翼運動の役割】

 さらに、左翼運動、あるいは政党の役割は仲介人ではなく、ウルグアイ、メキシコやバチカンがやっているような、仲介の労を取ることでもない。左翼組織は何をしているのか、どんなセクタと協力しているのかを発言しなければならない。反革命と距離をとることは重要だ。とりわけ、この(立場)がマドゥーロ政府は独裁だとか全体主義だとかの非常に誤った考えと同調してしまう。全くバカバカしいことだ。

 私はマドゥーロ政府とは多くのことで同意しない。嫌いなことについてのパンフレットを書くことができる。しかし、抑圧的な政府ではない。実際、どんなことでも寛大な政府である。マドゥーロが耐えているようなことを許容する政府はめったにないだろう。

 それは人民セクタを迫害しない政府である。刑務所に入れるべき人々、クーデターを実行した人々は刑務所にいれる。彼らはその見解のために投獄されたのではなく、クーデターを組織したから投獄されたのである。

 毎日大規模な右翼の抗議ともっと巨大な政府支持デモの(両方)がある時に、マドゥーロは独裁だというのは全くおかしな話である。

MH:言い換えれば、グアイドのような状況は世界のどんなところでも、どんなん権限がなかろうが受け入れられない。

CK:その通り。ここの左翼の間で起きていることは非常に幸先がよいと思う。なぜなら、2017年のグアリンバスが起きた時、左翼の間で非常に大きな議論が沸き起こったことを思い出すから。

マドゥーロは正当ではなく、犯罪人だと考えているセクタがあった。沢山のためらいがあった。

 (今)左翼全体が方向転換し、ためらいなくクーデターを非難するだけでなく、デモを組織し、結集するという正しいポジションをとっているように見える。

 だから、我々は闘い続けなければならず、結集していなければならず、帝国主義に対してベネズエラ人民を守る最前列にいなければならない。(N)

 

原文URL:

https://www.workers.org/2019/03/25/in-venezuela-23f-ended-up-one-more-collapsed-coup/

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